ただいま寄り道中

カチン・ミッチーナの備忘録

失われた英雄コー・ニー氏を讃えて (2017/01/31付Kachinland Newsより)

こんにちは、おこめです。ミッチーナはここ2,3日は夜になると雨が降っています!いよいよ暑期が近づいているということでしょうか?
今日は、1月29日にヤンゴンで暗殺されたNLD法律顧問コー・ニー(U.Ko.Ni)氏の話題。
カチンランドニュース(Kachinland News以下KLN)*1から、コー・ニー氏の業績などをご紹介しつつ私的乾燥を。
 
In Praise Of The Fallen Hero U Ko Ni: The lawyer with a vision
 
記事のポイント
・コー・ニー氏は2008年の憲法のに大きく貢献した
・2013年以降もコー・ニー氏は憲法改正への活動を展開している。現在、NLDが議会を統制しているにも関わらずいまだに議席数の25%が軍人によって占められていることは、真の民主主義と連邦制の妨げになると発言している。
・現行憲法は次の2つの点で民主的でないとコー・ニー氏は述べていた。第一に憲法改正に国民の希望と参加が反映されない状態であること。第二に、国権が国民にあるとしながらも、憲法改正国連総会代表者の75%以上の賛成が必要であるほか、各州の首相は大統領によって任命され、州政府は内務省によって運営されていること等。
・2016年4月、コー・ニー氏はミャンマータイムズの取材に対して、現行憲法の改正が軍によって阻まれ難しい以上新憲法を作成し制定する道をNLDが歩むと述べていた
 
私的感想
Kachinland Newsの記事作成者は、自らが「コー・ニー氏の熱心な支持者」であると前置きし、その業績について述べている。
注目すべきはやはり現行憲法への批判と新憲法制定に尽力していた人物であったということ。軍部を中心とした既得権益を持つ人から厄介者扱いを受けていてもおかしくない。
民主化に対して熱心であったことはもちろん、連邦制に対しても一定のビジョンを持っていたであろうことを思うと、カチン的にも彼の死が後々になって様々な影響が出そうな気がする。
 
民主化の進展に暗い影を落とすであろうこの事件。犯人が単独犯であるとは到底思えず、バックには過激な右派やそれらと通ずる軍部がいるのではないかと勘ぐってしまう。
軍部と政府との攻防は今後も続いていくだろうし、社会の変革期には様々なもめごとが起こっていくのは歴史の常ではあるけれど、それでも苦しむ人や命を落とする人が少なければ少ないほうがいいと思う。ミャンマーはまだ数か月しか暮らしていないし、ほとんどミッチーナにいるけど、カチン人もビルマ人も、シャン人やチン人も、今まで出会った人は皆おおらかで、本当にごく普通の人たちだった。
ビルマ軍だって大多数はそういった一般市民生まれから入隊しているわけで、一人一人みればわりと善良な人達なのだろう。それでも、敵を見たら戦うし時に殺しもする。それがとても悲しいと思う。
 
何にせよ事件の早期全容解明を願い、コー・ニー氏のご冥福をお祈りします。
 

*1:KLNはミャンマー・カチン州に拠点を置く非営利メディア。主に、カチン州での内戦に関する記事などを掲載。公式ページ:http://kachinlandnews.com