ただいま寄り道中

カチン・ミッチーナの備忘録

カチン州とルビー、そして森林伐採

本物のルビーに初めて触れる

 

昨日、カチンで知り合った建築家のラインさんに連れられ、生まれてはじめてルビーの原石とやらを見せてもらいました。


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この中で一番きれいなものだと、一つで150万から500万が末端価格、研磨されれば1000万近くいくとのこと。すごい!正直ガラス瓶のかけらみたいに見えるこの石。ルビーよりも、テーブルの上に出された、赤みがかった皮のバナナのうまさに感激している私には今一つわからない…。

しかし、そのルビーを見ながら、「カチン州は多くのルビーや翡翠がでて、その売り上げがあるのに、道路の舗装とかもうちょっとなんとかならないのかな」という話を聞き、収益が採掘された地域に還元されてないことを知りました。

 

ルビーの違法採掘と森林伐採

 

さらに違法なルビーの採掘には政府、密売組織、そして隣国の中国も絡み複雑な利権が絡んでいるそうです。

MERAC - 莫大な利益を生むルビービジネスの問題

MERAC - カチン州の官僚等を取り調べ

ラインさん曰く、違法な採掘は森林伐採にもつながり深刻な環境問題になっているという。
それでなくとも、材木などのために貴重な原生林が伐採されている状況があり、カチン州の森林はどんどん減少しているんだとか。
国境沿いで内戦状態が続く地域もあり、違法業者が中国、ミャンマー政府、反政府組織などにも賄賂を渡したりして伐採をしているという報告も見つけました。
Cash from chaos: The illicit trade in timber from Myanmar to China – EIA International

ラインさんは、こうした状況に対してカチンの人々はもっと声をあげてほしいと話されていました。ただ、実際には環境問題への意識が薄く、またどこか他人任せなのが現状で、それがもどかしいともおっしゃられていました。

また、「外国の人がいうと皆耳を傾ける、でも自分みたいに地元の人間がいっても”何を言ってんだこいつは”と聞く耳を持たれない」とも。

こうした、地元の人間が言っても相手にされない感じってのは、なんとなく日本社会にもありうる状況ですよね。まぁ、付け加えれば「外部のやつが何言ってんだ」というのも日本では往々にしてあるわけですが。

 

美しいルビーが背負う業…なんて詩的な言葉が出てきたけれど、よくよく考えればルビーそのものに罪はないわけです。やはりこれは人間の業でしょうか。